歯の矯正。
歯の矯正を始めることにした。
別に取り立てて歯並びが悪かったわけではなかったが、歯科医の「この奥歯を放っておいたら、80歳になった時に自分の歯でご飯を食べられなくなりますよ」と言われて、やってみることにした。
この歯科医はこの脅し文句で何人を歯科矯正に踏み込ませてきたのだろう。口馴染みが良さそうな物言いだった。
早速、右上の奥歯を治すための、装置を入れるための、空間を作るための、小さいゴムを歯の隙間に入れた。噛み合わせが悪くなり、いずい。硬いものを食べると痛みが出るので、食生活の変化も検討しなければならない。お粥とリゾットのレシピをいくつかスクショしておく。用意周到である。
歯の隙間で居づらそうにしているゴムを舌でウニウニしながら、ニュースを眺めてすぐに消す。本当に酷いニュースばかりで、精神的に食らってしまう。怒りに任せてありったけの悪口を言おうとするけれど、あいつらにはそんな言葉も聞こえないのが悔しい(伝わらないであろうことが容易に想像できてしまうことさえも)。気持ち悪い。
あれだけテレビっ子だった私が、こんなにも簡単にテレビから離れる日が来るなんて。
こんなことが書きたかったわけではないけど、コロナ禍のおぞましい社会をどう感じているか、書き留めておくことにする。